デザイナーに必要なのは「本質の理解」と「情報整理」。僕がイベントで語ったこれからのデザイナーに必要なスキルについて

デザインを考える

先日、縁あって人生で初めてイベントに登壇する機会がありました。
これまで僕は様々なイベントに参加してきましたが、当然ながらいつも話を聴く側。

でも今回は自分自身が前に立ち、デザインについて話すという貴重な機会を得ました。

その時話した内容が、なんだかすごく的を射ている気がしたので、今回はそれをまとめつつ深掘りをしていきたいと思います。

おれ
おれ

イベント登壇すごいやろ。(ドヤァ)

キノコくん
キノコくん

一回登壇したくらいで調子のんなwww

僕が登壇した「デザインと情報整理」についてのイベント

今回僕が登壇したイベントはミッドタウン日比谷で行われた割と小規模なイベント。
参加人数は20名くらいで、参加者の皆さんはデザインを学んでいる最中の社会人・学生たちでした。

参加者には予め主催者のスピーチを聞いてもらい、その内容をデザインするという課題が与えられました。
その課題が終わった後、お手本として作成したデザインを見せながら「どのように情報整理を行うべきか」ということについて語る。

それが、このイベントでの僕の役割です。

中学生の頃は生徒会長として大勢の前で話す機会の多かった僕ですが、大学生・社会人になってからそういった機会はほとんど無くなっていました。

久しぶりに大勢の前で話すので緊張していましたが、デザインについての話だったせいか不思議とスラスラ話すことができました。

このイベントでは、「複雑な情報をどうやってデザインするか」がテーマとなっていたので、表層的なデザインについての話をする場ではありませんでした。
なので、手を動かすデザインよりも一歩手前、デザイナーとしての情報整理について語りました。

(会場となった「TOKYO MIDTOWN日比谷」6Fの『Q LOUNGE』。)
(利用者が使えるトースター。「BALMUDA」のトースターをチョイスするところが非常にミッドタウンっぽい。)

これからのデザイナーに求められることとは?

イベントの冒頭でも語られていたことですが、今後デザイナーに求められるのは、単純な情報を美しく表現することでは無く“複雑な情報をシンプルで分かりやすく表現すること”です。

今や世界中に情報が溢れかえり、情報どうしが相互に関わり合うことで、情報の密度はものすごく濃くなってきています。
その複雑化した情報を丁寧に読み解き、一般の人に分かりやすく説明する。

いわば複雑化した情報との通訳となることこそが、これからのデザイナーに求められることだと、僕自身も考えています。

単純な情報を美しく整理できるだけのデザイナーは、正直あまり価値がありません。
そんなデザイナーは世界中に腐るほどいるからです。

でも、目の前にある複雑な情報を読み解き、分解し、それを誰にとっても分かりやすく再構築して表現できるデザイナーは本当に少ないです。

そういったデザイナーになれるかどうかが今後デザイナーとして生き残っていけるかを決めるといっても過言ではありません。

その上で、僕たちはどのように情報を整理するべきか?

では、目の前にある複雑な情報をデザイナーたちはどのように読み解いていけば良いのか。
これについて僕は幾度となく「本質を理解する」という言葉を使いました。

そもそも、何かを分かりやすく表現するためには本質を捉えている必要があります。

デザインの本質について自分なりに理解できていない人が、「デザインとは何か」を雄弁に語ることができないように、本質を理解できていない人はそれを分かりやすく伝えることができません。

デザイナーとしてプロジェクトに参加するときも、まずはそのプロジェクトの本質(目的やビジョン)を理解し、それに対するデザインを考えなければ、ズレたデザインが出来上がってしまうでしょう。

デザイナーにとって(というか、全てのビジネスマンにとって)本質を捉えることは最も重要なスキルであると同時に、最も基本的なスキルでもあります。
本質を理解せず、「ズレてるけど美しいデザイン」を完成させることよりも、本質を理解した上で「目的に合ったダサいデザイン」を作り上げる方がよっぽど意味があります

それを踏まえると、デザイナーを目指す人たちが陥りがちなデザインソフトの技量を上げるという努力の方向性も、少し良く考えた方が良いです。
Illustrator,Photoshopが超高速で使える、ものすごく高度なグラフィック処理ができる、というのはそれ単体では本当に無価値です

そこに「本質を捉える」というスキルが伴って初めて真価を発揮するのです。

実戦での立ち回りを全く理解していない武士が刀の振り方だけを一心に練習しても、戦場では何の戦果も上げられずに切り捨てられてしまいます。

それと同じように、もしあなたが今グラフィックソフトを使いこなすことに注力しているなら、それよりもデザインの本質を理解することに重点を置いた方が良いでしょう。

本質を捉えた上で、僕たちはどのようにデザインをするべきか?

“デザイン=設計”というのは僕の持論であり、多くのデザイナーが考えるデザインのあり方でもありますが、やはり僕たちは常に「設計者」であるべきです。

作るべきものを明確にし、それが十分な機能をもち、且つ美しく見えるように設計を行う。
そしてそれを作るための材料を集め、土台から順番に作っていく。

それこそが設計者の仕事です。
デザイナーも同じように仕事をするべきです。

本質を捉えることができたら、それを作るためにどんな情報をどんな順序で見せるかを考える。
その上で見た目がどのようになるべきかを考え、素材を集めた上で土台となる部分から順番に配置していく

全てのデザインにおいてこのプロセスは応用できます。

Webデザインであれば、そのWebサイトを作る目的を明確にし、そこに盛り込む情報を整理してどんな順番で見せるべきかを考える。
その上で、レイアウトを考えて、必要な文言や素材を集めて導入部分から順番にデザインしていく。

どんなデザインでも「本質の理解」「情報整理」は必ず必要です。

この2つさえできていれば基本的に何でも作れます(“何でも作れる”ようになるために、初めてグラフィックソフトやコーディングのスキルが必要になります)。

「本質の理解」と「情報整理」。

これが僕の考えるデザイナーに最も必要なスキルです。

僕たちはどのようにしてデザインを学んでいくべきか?

では、「本質の理解」と「情報整理」という極めて抽象的なスキルをどのように僕たちは学んでいくべきか。

まずはひたすら話を聞くことです。

周りに何かを企んでいる人がいるなら、積極的に話を聴きに行きましょう。
自分でプロジェクトを立ち上げたりサービスを作りたいと考えている人なら、「デザイナー」の肩書をチラつかせれば簡単に話を聞くことができるはずです。

実際にそのチャンスを手に入れたら、目の前の相手が言おうとしていることを全力で聞いてください。
聴きながら、頭の中で分解→再構成をしてみてください。

相手はあなたに理解してもらおうと必死で話すはずですが、多くの場合その話には主観的な感情が入っているため完全に理解するのは難しいでしょう。
その話を聴きながら「この話の目的は何か」を理解し、「それを説明するために必要な情報はこれだ」という部分を見つけましょう。

それがきちんと理解できていれば、あなたはその人以上にうまくその話ができるはずです。

誰かの話を聴きながら、頭の中で常に思考を巡らせることこそ「本質の理解」と「情報整理」という最も重要なスキルを磨く一番の近道です。

もし今あなたがグラフィックソフトの使い方やHTML,CSSの書き方を必死になって学んでいるなら、それを今すぐやめろ、とは言いません。

ですが、その時間の半分くらいを誰かの話を聞くことに使うことをオススメします。

デザインの参考書を読んでも、デザインスクールに通っても、誰一人「デザイナーには『本質の理解』と『情報整理』が大事だよ!」とは教えてくれません。
でもそれを習得することこそが、デザイナーにとって最も重要で、最低限の義務だと、僕は考えています。

まとめ

今回僕はイベントでデザイナーに求められる「本質の理解」と「情報整理」について語る機会を得ました。

話しながら自分がぼんやりと考えていた内容が整理でき、これからデザイナーを目指す人たちにとって有益な情報を提供できたと思っています。

当日イベントにお越しいただいた方々、今この記事を読んでいる方々がこれからの時代を生き抜くことのできる優秀なデザイナーになることを期待しています。

(最後に)一応、筆者の紹介

小木です。

大学で農学を学んだ後、なぜかデザイナーになったわけのわからん人です。
大学時代から自称フリーランスとしてデザインの仕事をしていました。

現在都内のIT企業でUX/UIデザイナー・ディレクターとして働きながら、それ以外でいろんなプロジェクトにデザイナーとして参加しています。

グラフィックソフトよりも本質的なスキルが大事、とか語ってますが、Illustrator,AdobeXDの操作がクッソ早いです。

話を聴きながらその場でデザインのラフを作ることを得意としています。

(最近、紅葉を見に行きました。秋っていいね。)

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