ロゴのアイソレーションとは何か?

デザインを知る

「アイソレーション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?あまり聞き馴染みのない言葉ですが、ロゴデザインやデザインガイドラインの作成を担当することになると、自ずと知ることになる言葉です。言葉は知らずとも、その概念はちゃんと理解している、という人もいるかと思いますが、今回はこの「アイソレーション」という言葉について、語っていこうと思います。

アイソレーションとは?

「アイソレーション」は分断・隔絶などの意味を持つ英語です。デザインでこの言葉を使う場合も意味はほとんど同じですが、分断というよりは「間隔」という意味の方が合っているかもしれません。

デザインでいう「アイソレーション」はロゴデザインの際に使われることが多く、ロゴの周りに設ける、他の要素が入れない領域を指します。

例を挙げて見てみましょう。仮で作ったロゴにアイソレーションを設けてみました。

この水色の範囲が「アイソレーション」の領域になります。
アイソレーションはこのように、上下左右にそれぞれ設けます。この水色の範囲にテキストや他の図形を入れてはいけませんよ〜ということを定義するためのものです。

他の要素と並列させるとこのようになります。

この時の「株式会社ムゲン」というテキストは水色のアイソレーション領域には干渉できず、必ずその外側に配置されることになります。

アイソレーションは、ロゴの周りにバリアを貼るようなイメージで、ロゴと他の要素が接触、または近づくことを防止します。
このルールを定めておくことで、ロゴはどんな媒体でも見やすく、独立したシンボルとして認識されるようになります。

なぜアイソレーションが必要なのか?

では何故わざわざアイソレーションなんてものを定義する必要があるのでしょうか?

ロゴマークを会社名と並べて配置したこちらの礼を見てみましょう。
この配置の時のアイソレーション領域は以下の水色の部分です。

これが、実際に名刺やWebサイトなどに表示されるときは、以下のようになります。

ロゴが目立っていて、すっきりとした印象ですね。
仮にアイソレーションが定義されていなかった場合、少し極端ですが、こんな感じになります。

ロゴマークと文字がくっつきそうで、何ともやぼったい印象です。
二つを見比べれば、アイソレーションが定義されていることで、ロゴはしっかり目立ってメリハリがつくことが分かるでしょうか。

アイソレーションが必要な理由はまさにこれです。
そもそも、ロゴマークと文字は、「図形」と「テキスト」なので、それぞれ独立していなければいけません。ですが、アイソレーションが定義されていないとそれぞれの要素が互いに干渉し合い、全体的にガチャガチャとした乱雑な印象になってしまいます。

「ロゴとテキストはそれぞれ別の要素ですよ〜」と定義してあげることで、要素と要素が独立してメリハリが生まれる。

アイソレーションはデザイン要素の周りに設ける、「他の要素を配置できない領域」であり、これがあることで要素と要素を独立させることができるのです。

アイソレーションの設定方法

さて、では実際にロゴにアイソレーションを設ける場合、どのようにすれば良いのでしょうか?
実際に例を挙げながら見てみましょう。

ロゴにアイソレーションを定義すると、このようになります。

ここではロゴの横幅・縦幅のそれぞれをA・Bとした時のアイソレーション範囲を定義しています。
この図では、

横:左右にロゴの横幅の1/3の範囲
縦:上下にロゴの縦幅の1/2の範囲

をアイソレーションの領域として定義していることになります。

一般的に、アイソレーションの範囲はpxなどの絶対値で指定せず、横幅に対して何%、のような割合を使って表します。この例の場合は「ロゴの横幅サイズに対して左右に33%の領域を定義」というふうになります。

なぜ割合で定義するかは簡単な話で、ロゴは頻繁に拡大縮小を行うからです。Webサイトで使う時、名刺に使う時、ポスターに使う時、おそらくそれぞれ大きさが違うはずです。だからこそ、どんな大きさになってもその定義がズレないように、横幅と縦幅に対する割合で表すのが良いでしょう。

まとめ

さて、今回は重要だけど意外と知らない「アイソレーション」という言葉の意味と重要性について語りました。名前だけ聞くとちょっと難しく感じられますが、普段我々が普通に意識していることを専門用語っぽく言っただけのような言葉でもあります。

さて、内容をまとめておきましょう。

「アイソレーション」はデザイン要素の周りに設ける、「他の要素を配置できない領域」
これがあることで要素と要素を独立させることができ、全体にメリハリがつく。
アイソレーション領域のサイズはデザイン要素の横幅・縦幅に対する割合で指定する。
アイソレーションはデザインガイドラインの作成時に定義することが多い。

アイソレーションは少しマイナーな用語のように思えますが、デザインにおいてはものすごく重要な要素です。これを定義しておかないと、せっかく作ったロゴがどんどん変な使われ方をしてしまいます。

それを事前に防止してデザインに統一性を持たせるためにも、しっかりと「アイソレーション」を意識してデザインをしていきましょう。

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