デザイナーの給与が安い3つの理由。

デザイナーとして働く

これからデザイナーとして働こうと思っている人たち。
今日は皆さんに悲しいお知らせがあります。

皆さんの多くは「デザインを仕事にしたい!」という非常に前向きな理由でデザイナーを目指していることと思いますが、仕事である以上、気になるのは給与ですよね。

デザイナーって稼げるの?という疑問は我々デザイナーを含めそれ以外の人たちからもよく聞かれるくらい、なかなか気になる質問です。
一般的にはデザイナーはけっこう稼いでいる、、というのが世の中の常識のようです。

さて、キッパリ言いますが、
デザイナーの給与は安いです。

デザイナーはそんなに稼げない

もし、「デザイナーになって大豪邸に住んでやるぞ!!」とか思ってる人がいたら本当に申し訳ない。。
多分無理です。

20代新卒で小規模デザイン事務所に入った場合の月収は、大体20万円くらい。年収換算すると、ボーナスを加味しない場合は240万円です。
これは僕の周りのデザイナーたちの話から導き出した平均金額ですので、もっと稼いでいる新卒デザイナーもいるかもしれませんが、大学を出たばかりで実績もないデザイナーに30万円も払う会社はないでしょう。

ちなみに、僕の新卒初任給も20万円くらいでした。
(まあ、この20万円の中に「みなし残業」とかいう悪魔のルールが含まれていたので、時給換算するとめっちゃ低かったですけどね!!泣)

「そのままデザイナーとして順調にキャリアを積んでいけば月収30万、40万くらいいけるんじゃね!」
という方。
甘い!!

多分結構厳しいです。
Webデザイナーなら500万円を突破できるかもしれませんが、一般的なデザイナーではかなり厳しい。。。

政府の統計データを参考に算出すると、平成29年のデザイナー全職種の平均年収は約440万円。

440万円はボーナスを加味して考えれば、月収31万円。
ちなみに、50代のデザイナーは業界的にもスキル・知識共に信頼できるためか、平均で年収610万円(ボーナスを加味すれば月収43万円)です。

ここまで働き続ければある程度のお給料をもらえますが、デザイナーという職種の平均年収が業界の中でも低水準であることは間違いありません。

さらにいえば、デザイナーとして年収800とか、1000万円を実現するのはほぼ不可能。
世田谷に大豪邸を建てて暮らしたい!
港区のタワマンでワイン片手に優雅に暮らしたい!
という人は商社とかに転職した方が良いかもしれません。

確かに稼いでいるデザイナーもいる

「いやいや、だって佐藤可士和さんとか、めっちゃ稼いでますやん!」

という声が聞こえそうですが、その通り。

日本を代表するデザイナーである佐藤可士和さんは、疑いようのないくらい、ガッツリ稼いでいるはずです。

著名な大手企業からバンバン指名が来て、全て高単価で引き受けていることを踏まえれば、ガッポリ稼いでいるのは明白でしょう。
それは佐藤可士和さんが凄腕のデザイナーであり、自分自身のブランディングがしっかりとしており、しかもあの年齢までデザインに携わり続けてきたからです。

仮に佐藤可士和さんが1000万円を超える年収を得ているとして、それ以外に日本のデザイナーで1000万円を超えるような年収を得ている人が一体あと何人いるでしょうか?

デザイナー、という枠から少し外れて考えれば、アーティストの草間弥生さん、村上隆さんなんかも、作品がとんでもない金額で売れることからも、かなり高い年収であることが予想されます。

とにかく、「デザイナー」として年収をガッツリ上げるには超売れっ子になるしかないのです。

これはかなり過酷な道ですが、デザインが好きで好きでしょうがない、という人にはオススメです。
ですがこれは一本の道を極めた職人みたいな成功の仕方です。
芸人が大ブレイクするみたいな話。

あなたがそうなれる可能性はかなり低いと思います。

上から目線ですみません。

ちなみに、僕は100%無理です。

なぜ年収が低いのか?

さて、ではなぜデザイナーの年収は低いのでしょうか?

考えられる理由は3つ。
それぞれ解説していきます。

①そもそもデザインの需要が高くないから

まず、そもそも「デザイン」というものの需要が高くないという理由が挙げられます。
デザインというのは高尚な仕事のように思えますが、実はそれほど需要が高くありません。

確かに、あらゆるサービスの開発にデザインは必要なのですが、世の中一般的には「必要不可欠」だとは思われていません
本当に「必要不可欠」だと思われているのはデザイナーよりもエンジニア。
エンジニアがいなければ、そもそもアプリやWebシステムを作ることすらできないからです。

デザイナーがいなくても、ダサい見た目のサービスなら作れるのです。
でもエンジニアがいなかったら、何にも作れません。
プロジェクトには、それ以外にディレクターやPMなどもいますが、やはりデザイナーよりも需要が高い印象です。

私たちにとっては不都合なことに、デザイナーは世の中一般的には「いたら嬉しいけどいなくても良い人」くらいに捉えられています。
だからこそ他の職種よりも需要が少なく、給料が安いのです。

②デザイナーのスキルが分かりにくいから

例えば、エンジニアであれば、これまでに開発したことのあるシステムや使えるプログラム言語、経験年数などによってある程度の相場が決まってきます。その相場を大きく超えることも難しいですが、この相場を下回ることもそうそう無いというのがエンジニアの給料です。

それに比べてデザイナーの給料は相場というものが見えにくいという特徴があります。
仮に30年の経験があるデザイナーだとしても、そのスキルが本当に信頼できるか、判断するのはかなり難しいです。

そもそもデザインのスキルというものは、Adobeのソフトをどれだけ使えるかとか、色の数をどれだけ知っているかとか、そういった分かりやすい基準で測れるようなものでもありません。
これまで作ったデザインの実績を見ても不十分。
デザイナーのスキルにはソフトを使いこなせるかどうかの能力に加えて、デザインセンス、経験、新しいものを追い求める気持ち、など、とにかくいろんな要素が絡んできます。

だからこそ、周りからはデザイナーのスキルが分かりづらい。
それに、そもそもあなたが勤める会社自体がデザイナーのスキルをよく理解できていない可能性もあります。
そのスキルをよく理解できていないからこそ、デザイナーの給料の相場がそもそも低く、しかも上がりづらいのです。

③プロジェクトの一部しか担ってないから

これがデザイナーの給料が安い本質的な理由です。

まず、一般的なプロジェクトのチーム構成を考えてみると、PMの下にディレクター、その下にデザイナーやエンジニアが付くケースが多いでしょう。

場合によってデザイナーやエンジニアに加えて、コピーライターや営業、その他のステークホルダーが付いたりします。

そう。
デザイナーはあくまでプロジェクトの一部、全体で見れば非常に小さな部分しか担っていないのです。

デザイナーがヘマしたら確かにプロジェクトに支障がでますが、皮肉なことに、その影響は微々たるものです。

エンジニアがやらかして顧客データが流出した、とか、ディレクターがミスをしてクライアントが激おこぷんぷん丸になった、など。
そっちの方が何倍もヤバいです。

誤解しないでいただきたいのですが、筆者自身も一人のデザイナーであり、全てのプロジェクトにはデザイナーが必要である。という考えの持ち主です。

しかしながら、現実を考えると、現状デザイナーがプロジェクトの中で担っている範囲などわずかなのです。

給料とは、責任の大きさを定量化したものです。デザイナーが担っている範囲が狭い以上、ディレクターやPMよりも責任が小さいのは明白。それゆえ、給料が安いのです。

まとめ

私たちにとって不都合なことに、デザイナーの給与はかなり低いです。新人なら20万円に満たないこともしばしば。ベテランになっても、その上がり幅はそれほど大きくありませんし、そのうち頭打ちになります。

デザイナーの給与が安い理由は3つ

  1. そもそもデザインの需要が高くないから
  2. デザイナーのスキルが分かりにくいから
  3. プロジェクトの一部しか担ってないから

この記事の目的は、これからデザイナーを目指す人達を絶望させるためではありません。デザイナーの給与についてこんな課題があるんやで!という問題提起こそ、この記事の真の狙いです。

これらは僕たちデザイナーの手で変えていくしかありません。それは世界のデザイナーのためであり、僕自身のためでもあります。

この課題をどう乗り越えるか、他の記事でもまとめているのでぜひそちらもご覧ください。

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