デザイナーとして挫折した時に忘れないでほしい、僕がやり続けた5つのこと

デザイナーとして働く

デザイナーとして動き出すと、上手くいかない時期が必ず訪れます。
特に働き始めたばかりの頃は、周りのデザイナーとのスキルの差に落胆したり、自分の作ったデザインがボツになって落ち込んだり…。

皆さんがこれまでどのようにデザインと向き合ってきたのかはわかりませんが、デザインを仕事にする以上、必ず一度は大きな壁にぶつかります。
僕は元々デザインを学んでいたわけではなかったので、常に周りとのスキルの差を感じて落ち込んでいました。

デザイナーになると決めてからは全く仕事がなく、仕事を依頼されてからも失敗ばかり。
4年間野菜について学んできた僕(僕は農学部の出身です。)がいきなりデザイナーとして上手くいくはずもなく、最初は全く仕事がなく、仕事を依頼されてからも失敗ばかり。

人知れず泣きながらデザインを作り続けていました。

そこで諦めて、野菜系の職業に転職する道もありましたが(農家とか?)、僕には「デザイナーになりたい」という確固たる意志があったので諦めませんでした。

その後1社目のデザイン事務所に入社、今では転職した先の会社で新入りながら重要なWebサイトやアプリのデザインを任されるまでになりました。
僕が今回の記事を通してみなさんに伝えたいのは、もし今大きな壁にぶつかっていたとしても、必ずそれは乗り越えられる、ということです。

もし今、目の前に大きな壁が立ちはだかっていたとしても、それは多くのデザイナーが経験していることですし、努力で必ず乗り越えられます。
もしかしたら、1年、いやそれ以上の時間がかかるかもしれませんが、必ず乗り越えられます。
だから今諦めずに、立ち向かってほしいのです。

今回は僕がデザイン事務所に入社する前、自称フリーランスとして活動していた時を中心に、スキル不足という大きな壁に直面した僕がどんな行動をしてその壁を乗り越えていったのかを5つに分けて紹介したいと思います。
皆さんが今目の前にある大きな壁を乗り越える一助になれば嬉しい限りです。

1.CrowdWorksで作品を作り続けた

「僕って本当にデザイナーなの?」 そう自分に問いかけたくなるほどデザインの仕事がなかった時期、それでも僕は作品を作り続けていました。

もちろん誰かからデザインの依頼なんて来ないので、最初は架空のロゴやチラシを作っていました。
はい、ただの自己満足です。
自分が新進気鋭のベンチャー企業からデザインの依頼を受けたという想像(もはや妄想)をして、ひたすらいろんなデザインをしていました。

しばらくして、そろそろお金が欲しいなーと思った僕は、CrowdWorks(クラウドワークス)のコンペ形式の案件に片っ端から挑戦していきました。

知ってる方も多いかと思いますが、CrowdWorksは日本最大級のクラウドソーシングサービス。
企業や個人がデザイナー・エンジニアなどに簡単に仕事を発注できるサービスです。その中に「コンペ形式」と呼ばれる仕事の仕方があります。

これは誰もが参加できる仕組みの仕事で、いろんな人たちがロゴなどの提案を行い、その中でそのコンペの主催者(クライアント)に選ばれた提案をした人だけが報酬をもらえるという仕組みです。
ド素人同然の僕でもコンペ形式なら他の参加者と同じ立場で挑戦ができ、キャリアに関わらず作ったデザインの良し悪しだけで評価されます。

もしかしたらプロのデザイナーをコテンパンにできるかも?という淡い期待で挑戦しましたが、一ヶ月で30個近くの案件に挑戦して実際に報酬がもらえたのは一個だけ。
しかもその報酬はチラシ作成で5000円というドンキホーテもビックリの激安価格でした。

その後も2ヶ月ほどの間に何回もコンペに挑戦しましたが、5000円の報酬を最後に、僕がお金を得ることはありませんでした…。

ものすごく多くの時間を使ってものすごく少額のお金をもらう、ハイリスクローリターン(むしろノーリターン!)のお仕事をやり続けたのは、どんなに効率が悪くても、デザイナーとして仕事ができるからです。
独学でデザインを勉強しただけの僕がデザイナーとして仕事をするためには、そうするしかないと思ったのです。

常に何かをデザインしていないと自分がデザイナーではなくなってしまう、という強迫観念のようなものに突き動かされていたのかもしれません。

ですが、この時の途方も無い失敗の数々が、今の僕を支えています。

2.本を読み続けた

何度もコンペに挑戦して何度も失敗していくうちに、周りのデザイナーと比べて僕にはデザインの知識やスキルが圧倒的に足りないということに気がつきました。

そこから僕は他のデザイナーをコテンパンにするために本腰を入れてスキルアップを目指しました。
僕はもともと全部独学でデザインを学んだので他のデザイナーより劣っているのは仕方がない。
そんなペロペロキャンディーみたいに甘い考えは、微塵もありませんでした。

他のデザイナーたちに一刻も早く追いつきたいと考えた僕は、休みの日にひたすらデザイン本を読みまくりました。
デザインの基本的な考え方、ソフトの使い方についての本はもちろん、仕事術や時間管理の方法をまとめたビジネス書も読み漁りました。

とにかく一つでも多くのことを吸収しなければ現状を変えることはできない、他のデザイナーたちに勝てるはずがない。
そんな焦燥感が僕を突き動かしていました。

デザイン書以外にビジネス本を読み漁ったのは、CrowdWorksのコンペで挑戦と失敗を繰り返すうちに、そもそもの仕事の仕方についての知識が足りていないということを痛感したからです。
そんなふうに、自分に足りない知識やスキルにしっかりと正面から向き合い、それを改善することに随分長い時間を費やしました。

3.良いデザインを見続けた

当時の僕は自分で作品を作ることに精一杯で誰かのデザインを見ようという考えに至りませんでした。

素晴らしいデザインを見ると自分のスキルがどれほど劣っているかを突きつけられるような気がして、他のものには目を向けずに自分の作品だけを見続けていました。

こんな状況に陥っている方、意外と多いのではないでしょうか?自分の作品だけに集中して広い視野を失っていては、デザイナーとして失格です
なぜならデザイナーは常に「ミクロな視点」と「マクロな視点」の両方を持ち、使い分けなければならないからです。

ものすごく視野が狭くなっている自分に気づいてから、僕は他のデザイナーが作った素晴らしいデザインを見まくりました。
僕が負けたコンペで優勝したデザイナーの作品、日本を代表するデザイナーの作品、デザイン展で展示されている素晴らしいデザインの数々、グッドデザイン賞を取った作品たち。

特に、著名なデザイナーの作品を生で見れる展示会は本当に良い勉強の機会になりました。
(余談ですが、この時、僕が最も尊敬しているデザイナーである「太刀川 英輔」さんの講演会にも行きました。鼻息荒く質問した僕に優しく答えてくれた太刀川さん、一瞬でホレました。)

世の中は素晴らしいデザインであふれています。

街を歩けば良いデザインの建物が目に入るし、お店に行けば素敵な家具や見やすく整理されたメニューが目に入ります。
手っ取り早くネットで検索をすれば目を引くロゴの数々や、洗練されたデザインのWebサイトを見ることができます。

そのどれもがデザイナーとしての血となり骨となるはず。
それなのに、そこから目を背けて自己満足の世界に入ってしまうのは本当にもったいないことです。
自分の作品をより良くしたいなら、もっと外に目を向けていろんなデザインを見続ける。

その視点を忘れて自分の作品作りにのめり込んだ時期、きっと僕はデザイナーではなくアーティストになっていたのだと思います。

4.自分のデザインは素晴らしいと信じ続けた

さて、素晴らしいデザインを見ていると自分のデザインのショボさに落ち込んできます。

僕の場合、クライアントや先輩から遠慮のないものすごいダメ出しが来ていたので、だんだん自分のデザインがクソだと思うようになってしまいました。

でも、僕は半ば強制的に「自分のデザインは素晴らしい!」と信じ続けました。
僕より優れたデザイナーは星の数ほどいるだろうけど、今僕が作っている作品はきっとどんな作品よりも優れている。
僕は常にそう信じていました。

というより、そう思ってないとやってられなかったのです。

自分のデザインはクソだと思いながらデザインを続けていくのはダイヤモンドよりも硬い意志を持っていても難しいでしょう。
半ば無理やり自分に自信を持つことで、僕はなんとかデザイナーとしての自分を保っていました。

でも自分の作品を信じるっていうのは本当に大事なことで、僕は今でも最初にチャレンジしたコンペで優勝していた作品よりも、僕が作った作品の方がカッコいいと思っています(笑)。

デザイナーとして働く以上、自分のデザインについて説明する機会は非常に多いです。
なぜその色を使ったのか?なぜそのレイアウトなのか?このデザインにするとどんなメリットがあるのか?
これらをうまく説明して自分のデザインを採用してもらうためには、論理的な文章よりも先に「自信」が必要です。

どんなに筋が通った意見でも、自信なさげに話せば説得力が激減します。
それに、プロとして仕事を依頼されている以上、提案しているデザインに自信がないというのは絶対にあってはならない事です。

それを肌で感じて理解していた僕は、常に自分のデザインは素晴らしい!と過信とも言える自信を持って仕事をしていました。
これも半ば強制的に自分を奮い立たせるための、苦肉の策だったのかもしれません。

5.自分はデザイナーだと名乗り続けた

自分に自信を持つことと同時に僕が意識的にやっていたのは、自分がデザイナーだと名乗り続けることでした。

一応、デザインの仕事をしているので多分僕はデザイナーなんだな、と思う一方で、全然仕事が入ってこない状態でデザイナーを名乗って良いのだろうか?とデザイナーを名乗ることに抵抗を感じてもいました。

それでも僕は時々後ろめたさを感じながらも、自分がデザイナーだと名乗り続けました。
仕事以外で誰かに会う時、SNSのプロフィール、いろんなところでデザイナーであることをアピールし続けました。

使う予定はなかったのですが自分の名刺も作って、そこにデカデカと「デザイナー」と書きました。
比較的ボッチだった僕が名刺を配る機会はほとんどなく、100枚発注して、今家に95枚くらい残っています。

デザイナーを名乗る以上は自信を持って自分のスキルを披露できなければならない。

でも、今の自分はスキルに自信がない。

だからこそ僕は全力でデザインのスキルを高めないといけない!

そんなふうに自分に発破をかける意味で、僕はデザイナーを名乗り続けていました。
ある種自分への戒めのようなものです。

自分の作品がクライアントに採用されたり、新しい仕事を依頼されるようになると、次第にデザイナーと名乗ることに何の抵抗も感じなくなっていきました。

無理やり自信を生み出そうとしていた僕でしたが、ここまで来ると自然と自信が湧いてきます。
そのあと何度も失敗を繰り返しましたが、長い時間かけて培ったデザイナーとしての自信があればいつでも挫折を乗り越えることができました。

まとめ

以上が、僕がデザイナーとして挫折した時にやり続けたことです。

お気付きの方もいるかと思いますが、この5つには共通して「デザイナーとして自信を持つ」という目的があります。
必死に本を読んだり他のデザイナーの作品を見て回ったのも自分のスキルを上げて自信を持つためですし、自分の力を信じ続けるというのもそういった目的があります。そう、デザイナーに必要なのは「自信」です。

それを失ってはいけません。今この記事を読んでいる方がどんな障壁に直面しているかは分かりませんが、皆さんがこれから自信を持ってデザインをこなしていけることを願っています。

この記事が何かヒントになれば幸いです。

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