デザインの“センス”って何?デザインのセンスが良くなる方法は「ダサいものを記憶」すること!

デザインを知る

全て独学でデザインを学び、なんとか新卒でデザイン事務所に入った僕ですが、周りとの実力差は歴然でした。

僕が独学でマスターできたのはデザインソフトの使い方くらい。
デザインの根本的な考え方や知識を知らなかった僕が作るデザインはどれもことごとく却下され、次第にデザイン以外の雑務を任されるようになりました。

悔しくて必死に努力していた僕ですが、ある日上司から呼び出されてしまいます。
嫌な予感はしていましたが、その時上司の口から出た言葉が「君はセンスがない」でした。

あまりに率直な意見すぎて、心の中で「オイ、マジかwww」と呟いたのを覚えています。

デザイナーにとってセンスは非常に重要なものです。

むしろ、デザインのセンスこそがデザイナーの実力を示すものだと思います。
それを全否定された僕は、これまでデザインを学んできたこと、これからデザイナーとして働いていくことを全否定されたような気持ちになってしまいました。

しかし、「センス」って実際はなんなのでしょうか?
センスが大事だということは分かるし、自分自身にそれが足りていないことも理解できる。

それでも「センスがない」っていう指摘は漠然としすぎているし、そもそもどうやったらセンスが良くなるのか全く想像がつきませんでした。

今回は、デザインにおける“センス”とは何か、そしてそのセンスを高めるにはどうすれば良いのかについて、僕の考えをまとめたいと思います。

そもそも、センスって何?

僕が考えるセンスの定義

「〇〇くんってセンスいいよね〜」と言われるのって、どんな時でしょうか?

オシャレなコーディネートをしていって褒められるとき、雰囲気の良いレストランにエスコートしたとき、などがパッと思いつきますね。

どちらにも共通しているのが、「美しいものを自然に選んでいる」ということです。

センスとは、「美しいものを自然に選ぶことができる能力」である。
これが僕の導き出した「センス」の定義です。

目の前にAとBの物体が置かれたとき、美しいものを自然に選ぶことができること、それがデザインにおけるセンスです。

ここで勘違いしてはならないのが、ここで「美しい」と感じるべきは誰か、ということです。
間違いなく、「自分」ではありません。
「自分」を含めたその他大勢の人たち、その大衆が「美しい」と感じるものを選ぶ必要があるのです。

アートではなくデザインだということを忘れずに!

「AとBではBの方が整って見えるけど、個人的にはAの方が好きだな。」

といったように自分の個性を前面に出して美しいものを選ぶ、ということもある種のセンスです。
個性的なファッションや髪型で街を歩く人を見かけますが、あれもある意味センスを発揮していると言えます。

ですがそれは「デザイン」のセンスではなく、「アート」のセンスなのです
自分の個性を丸出しにして直感で美しいものを選ぶ。
これはデザインではなくアートです。

よくこの部分を勘違いして独創的なデザインを作り出そうとする新米デザイナー(当時の僕のことです)がいますが、これは大きな間違いなのでもしこの記事を見て気付くことができたなら、その考えは早いうちに改めましょう。

あなたがやっているのはデザインではなく、アートです。
デザイナーは多くの人が美しいと思えるものを選び、それを作り出していく必要があります。
本来はそこに独創性は全く必要ないのです。

センスとは、「美しいものを自然に選ぶことができる能力」であり、「美しい」と感じるべきは自分一人ではなく自分を含めた大勢の一般人である。
というのが“デザインのセンス”の定義です。

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Photo by Anni Roenkae on Pexels.com

そのセンスはどうすれば身につくのか?

まずは論理的に考える習慣を!

とはいっても、そのセンスは果たしてどのような努力をすれば身につくのでしょうか?

まず、間違いなく言えるのは自分の個性・アーティスティックな部分は押さえつけるべきだということです。
なぜなら、「美しい」と感じるべきは自分一人ではなく、自分を含めた多くの人たちだからです。
要するに、一般ウケするものを選ぶべき、ということです。

そして、みんなが美しいと思えるものを選ぶには、自分の直感に頼っていてはいけません。
極めて冷静に、論理的に判断する必要があります。

「AとBでは形状に大きな差がある。Aは柔らかい印象を与える事ができるし、Bは堅実でしかも使い勝手が良い。今回作るデザインに柔らかい印象は合わないから、ここではBを採用しよう。」

これが直感ではなく論理的に判断する、ということです。
デザイナーにとってこれは必須のスキルですし、これができれば「センスいいね」と言われるようになるはずです。

そして当たり前ですが、ここでの考え方や最終的な判断がそもそも間違っていては意味がありませんし、それこそ「うわ、センス悪すぎワロタwww」と言われることになってしまいます。

というわけで、「論理的に考えて判断する」ということに加えて、「正しい判断をする」ということも重要になってきます。
そして、正しい判断をするためには判断基準となる「情報」を数多くインプットしておく必要があります。

デザイナーは常に情報をインプットすべし!

デザインの教科書に載っている王道のデザイン理論はもちろん、最近人気のあるWebサイトのデザインや、有名なデザイナーが作り上げた作品、使いやすいと感じたアプリの画面デザインに至るまで、日常に潜んでいる美しいデザインに目を向けて、それをインプットしましょう。

「この背景色の上にはこの文字色がよく映えるな」
「このアプリのメニューバーはシンプルで使いやすいぞ」
「この雑誌の写真のレイアウトは秀逸だ」

そんな風にいろんな美しいデザインを覚えておいて、自分がデザインするときにそれを記憶から引っ張り出せば良いのです。
その情報が多ければ多いほど、最適な判断を下す事ができます。

覚えておくのが苦手な人はメモを取ったり、写真を取ったりしましょう。
特に写真は、言葉で表現するのが難しいデザインや色を切り取って保存しておけるので非常に便利です。

ダサいものを記憶すればデザインのセンスが身につく!?

僕がオススメする世界の見方

今述べたことを踏まえて僕が個人的にオススメするのは、その逆。

美しくないデザインを記憶しておく、ということです。
それは、自分の性格を超批判的なデザイナーに変える、ということでもあります。

「このWebサイトのフォント小さすぎワロタwww」
「あの看板の配色ビビットすぎて草。」
「このアプリの操作性クソすぎる件について。www」

といったように、ものすごーく性格の悪いデザイナーになってみるのも一つの手です。
美しいものを記憶するのも大切ですが、この世界は美しいデザインにあふれているので、それを一つ一つ記憶していくのは骨が折れます。
それよりは逆にダサいデザインを覚えておいて、自分はそれを絶対にやらない!と心に決めてデザインをする方が効率的です。

そして、正直言ってこれはものすごく楽しいです。
街中を探してみると、ダサいデザインのものは結構あります。

それを見つけて心の中で「うわ、ダサすぎワロタwww」と呟くのは以外に楽しいものです。
特に、表参道などのハイセンスな街でダサいものを見つけたときはテンションが上がります。

ただ一つ注意していただきたいのが、決してそれを口に出さないようにする、ということです。
それをしょっちゅう友達の前で言っていると、確実に嫌われます。

なぜ、そんな事が言えるかって?
僕自身がいつも友達の前で「あのデザインダサすぎワロタwww」と呟いているからです。
(Dear my friend…今後は心の中だけで留めるようにしますので、どうか今後とも仲良くしましょう。)

まとめ

さて、今回は過去に「君はセンスがない」と言われた僕がセンスについて考えたことをまとめてみました。
最後にこの内容をまとめておきます。

  • デザインのセンスとは、「美しいものを自然に選ぶことができる能力」のことであり、「美しい」と感じるべきは自分一人ではなく自分を含めた大勢の一般人である。
  • デザインのセンスを身につけるためには常に論理的で冷静な判断を下す必要がある。
  • そしてその判断を正確なものにするためにも、美しいデザインのインプットが欠かせない。
  • でも、それは正直骨が折れるので、ダサいデザインを探す癖をつけて自分は絶対にそれをやらない!という意識を持つ事が大事。

センスがない、という言葉はデザイナーにとって最大の屈辱です。
でも、それを真摯に受け止めて、自分のセンスを高めていく努力がものすごく大事です。
そのためにも、いろんなデザインを探す目を持って毎日を過ごしてみましょう。

一度外に出てしまえば、そこには無数のデザインが存在しています。
世界はデザイナーにとっての教科書になり得るのです。
毎日を過ごす中でデザインのセンスを少しでも高められるように、まずは世界の見方を変えてみましょう。

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