現役デザイナーが選ぶ 参考になったデザイン本5選

デザインの本

みなさんこんにちは、こんばんは。
小木です。

デザイナーたるもの、常に新しい知識を吸収しながら生活しなければなりません。
移り変わりの激しいこの世の中で、新しいものを生み出していくためには常に新しいものを自分の中に取り込んでいく必要があるのです。

これは、どんな仕事にとっても言えることですが、自分の中にある知識やセンスが結果に直結する“デザイナー”の場合は、特に新しい知識を得ることに貪欲でなければなりません。

今回は、僕がデザイナーとして働くまでに、そして、デザイナーとして働く中で、本当に参考になったと思えるデザイン本を紹介します。

デザインを学んでいる途中の人、デザインを仕事にしている人、様々な人にとって重要な発見や知識を与えてくれる本ばかりです。
気に入った本があればぜひ、本屋などに行って手にとってみてください。
そこから、きっと新たなデザインの火種が生まれてくるはずです。

「なるほどデザイン」

出版:2015年
著者:筒井美希

言わずと知れた、「ザ・デザイン本」
デザインに関わる人であれば誰もが読んだことがある、そんなレベルの良書。

僕も、いろんなブログやネット記事で好評を得ていたので、この本を買いました。
様々なメディアで取り上げられるだけあって、コンテンツの質は非常に高かったです。

タイトルと表紙のイラストが物語る通り、その読後感はまさに「なるほど!」と言った感じ。
これまで感覚でデザインを作り続けていた僕が、デザインを論理的に考えるきっかけを与えてくれた本です。

デザイン初心者は誰しもがデザインを感覚的なものだと捉え、色を決めるのも、形を決めるのも、フォントを決めるのも、すべてはデザイナー個人の感覚的なセンス次第なのだと考えると思います。
確かにデザインはそう言ったアーティスティックな一面を持っていますが、その感覚的な美しさを“論理的”に捉えて表現することこそが「デザイン」です。

「なるほどデザイン」は誰もが感覚的だと思っている色・形などの項目を非常に分かりやすく、論理的に説明してくれています。
冒頭で雑誌の1ページの実例を挙げながら、どうやってデザインを考えていくのかというプロセスを説明してくれていて、読者に対して徹底的に丁寧な姿勢が読み取れます。

そして、何と言っても、見やすい!
言葉で言われてもピンと来ないような部分は優しいタッチのイラストで解説してくれているし、写真をたくさん使っているので1ページの内容を瞬時に理解することができます。

デザインの勉強を始めたばかりの人に、強くオススメする一冊です!

Bitly

「いちばん面白いデザインの教科書」

出版:2017年
著者:カイシトモヤ

東京造形大学 准教授でアートディレクター/グラフィックデザイナーのカイシトモヤさんの著書。
僕がいちばん最初に買ったデザイン書でもあります。

まさに「教科書」の名の通り、デザインをする上で知っておくべき知識が網羅されている一冊です。
形・色・レイアウトなど各項目について1から丁寧に分かりやすい図やイラスト、そして何より読みやすい文章で教えてくれています。

1ページの情報量が比較的多いので、読み進めるのはかなり苦労しましたが、この本で得られる知識はデザインをする上で必須のものばかり。
この知識はデザイナーとして仕事をする上での土台となっています。

おそらくこの本を1回だけ読んで全てを理解できるのは、すでに知識が豊富にあるデザイナーか、とんでもない脳みそのスペックを誇る天才くらいです。
内容が非常に濃いので、僕はノートに書き出したり、なんども読み直したりして少しずつ理解していきました。

一通り読むのも、理解するのも骨が折れますが、この一冊から得られる知識は他のどんなデザイン本をも凌駕しています。

必読の一冊です。

Bitly

「デザインのひきだし」

出版:〜現在(年4回)
著者:グラフィック社

デザイン系の雑誌は数多くありますが、その中でも異彩を放っているのが「デザインのひきだし」です。
僕は書店で初めて出会った時、思わず「うわ、ヤバw」と呟きました。

僕が初めて購入したこちらのNo,35は、表紙にヒグチユウコさんのイラストを起用しているのですが、こちら、インクを使った印刷ではなくレーザーカット機で絵柄を細かく格子状にカットして表現しています…。
なんのこっちゃ分からない方もいるかと思いますが、安心してください。

僕もよく分かりません。

とにかく毎回斬新なアイディアで驚きと発見を与えてくれるこちらの雑誌。
分野としてはグラフィックで、特に紙の加工・印刷という若干ニッチな部分にフォーカスした雑誌です。

この雑誌の素晴らしいところは、紙媒体である雑誌という特性を生かして、斬新な仕掛けを施してくるところ
No.35では、中に穴だらけの紙が入っていたり、一部だけ紙質が違ってそれを実際にさわれたりと、サービス精神旺盛です。

特集では、実際に現場で印刷物がどのように作られているのか、という部分に着目しています。
実際のところ、工場で紙がどうやって加工されているか、どういう仕組みで印刷されているのか、などというところは「知ったこっちゃない」部分でもあります。

それを知らなくても、イラレをいじって業者にデータを送れば、希望の作品は出来上がるわけなので。

しかし、その作品が出来上がるプロセスの下流をどこまで理解しているかによって、表現の幅は大きく変わります。
いわゆる「現場を知らない」デザイナーというのは、たかが知れているわけです。

普段見ることができない現場レベルでのデザインを知ることができ、そして自分の手で、自分の目でその技術の一部を体感する頃ができる。
「デザインのひきだし」読者を現場に引っ張り出してくれる、そんな素晴らしい雑誌です。

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デザイナーとして起業した()君へ。成功するためのアドバイス

出版:2013年
著者:David Airey

こちらは少し変わり種。
そもそも、僕が順当に、よくあるデザイン本ばかりを紹介するはずがないのです。

こちらの本はDavid Airey氏が、デザイナーとして自分でビジネスを立ち上げて経営していく上で参考になる事例と必要なマインドについてまとめた本です。

デザインビジネスを立ち上げて成功した人、失敗した経験が沢山載っているので、これからデザイナーとして独立する人、自分のデザイン会社を立ち上げる人たちにとっては心強い道の指南役となるはずです。

一方で、僕はこの本をこれからデザイナーになる人、まだまだ独立など考えていないようなデザイナーにも読んでもらいたいと思っています。
たとえ今自分がどんなデザイン会社にいたとしても、デザイナーとして起業して生きていく術を心得ておく必要があります。

それは、突然会社が今日潰れてしまって、明日から独立を余儀無くされる、といった過酷すぎて一周回って楽しい状況に対処するためでもあります。
しかし、それだけではなく、自分がデザイナーとしていきていく以上は知っておくべきことなのです。

もし、一生自分は独立などしない、と考えているデザイナーであっても、あなたのボスはデザインビジネスを立ち上げて経営しているわけなので、その苦悩や最適な方針を自分の中で理解しておく必要があります。

特に僕は、どんな会社にいる人(デザイナーに限らず)でも経営者としての視点を持っておくべきだ、と考えているので、僕にとっては必読書だったと思います。

この本の中では様々な実例を挙げながら、どうやってデザインビシネスを立ち上げるのかそれぞれのフェーズでどのような問題が出てくるのか、そして、デザイナーとしての自分の価値をどうやって維持・向上させていくのかを丁寧に説明してくれています。

一人のデザイナーとして評価された時に、自分はどこまで自信を持ってその価値をアピールできるか?

そんなことを考えながら、本書の中にあるいくつものアドバイスを自分の中に落とし込んで行って欲しいと思います。

今独立を考えていなくても、自分が常に一人の“プロの”デザイナーだということを自覚して仕事をしなければならない。
そんな当たり前だけど、見落としてしまいがちなアドバイスを教えてくれる本です。

Bitly

デザインと革新

出版:2016年
著者:太刀川瑛弼(NOSIGNER)

最後にご紹介するのは、NOSIGNERの太刀川氏が書いた「デザインと革新」です。
初めに断っておきますが、別にこの本を読む必要はありません

キノコくん
キノコくん

「はい…?あなたが紹介してるんですよね?」

はい、そうです。
僕が紹介しています。
だからこそ、この本を紹介する必要があり、だからこそ、皆さんがこの本を読む必要もないんです。

太刀川さんは僕がデザイナーを志したきっかけになった人物であり、僕が最初に対面したプロのデザイナーです。

その哲学に魅了されて、僕はデザインの素晴らしさに気が付き、デザインなんて学んだことがなかった状態から、デザイナーになったのです。

太刀川さんは僕にとって憧れのデザイナーであり、いつか超えたいと思っているデザイナーです。
だからこそ、太刀川さんの哲学が詰まったこの本は僕にとってのバイブルなのです。

そう、つまり、自分にとってバイブルと呼べるような本があれば良いのです。
別にそれがこの「デザインと革新」である必要はなく、自分が目標とするデザイナーの思考を巡ることができる本であれば良いのです。

だから僕は、誰もが“この本を読む必要はない”と言いました。
まあ、もちろん、読んだ方が“良い”とは思いますが。

さて、この本には太刀川さんの(またはNOSIGNERとしての)デザイン哲学が見開き1ページに一つ、といった構成でまとめられています。
非常に簡潔なデザインと、太刀川さんが語りかける言葉によって、その考えがすんなりと頭の中に入ってきます。

そして各ページの間には太刀川さん、もしくはNOSIGNERが手がけた作品が美しいビジュアルで紹介されています。
その多くは前のページで語られているデザイン哲学を体現したものであり、「なるほど、その考えはこうやって作品に表されるのか!」と、一つ一つしっかり理解しながら読み進めることができます。

この本を僕は強くオススメしますが、自分が目指すデザイナーが書いた本で、そこにそのデザイナーの哲学がまとめられているなら、どんな本でも良いと思います

自分にとっての“バイブル”を見つけて、デザイナーとして目指す目標にグッと近づいてください。

Bitly

気になる本はあったかい?

さて、現役デザイナーである僕が選んだデザイン本を5つ紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

誰もが評価する良書から、僕個人のオススメ本など幅広く紹介してみました。
気になったものがあったら、まずは手に取ってみてほしいと思います。

その出会いが皆さんのデザインを飛躍的にレベルアップさせるかもしれないし、デザイナーとしてのこれからの活動をより良いものにしてくれるかもしれません。

デザイナーは常に新しい知識に貪欲でなければなりません。

これからも僕は様々な本から知識を吸収していきますので、皆さんも貪欲に、新しい知識を追い求めましょう。

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